通訳翻訳論 2008.05.21
通訳の実務
  通訳ガイドの仕事
通訳の実践を支える原理
日本の観光政策
日本から海外へ渡航する観光客に比べ、海外から日本を訪問する観光客は3分の1程度
国土交通省は「外国人旅行者訪日促進戦略」の一環として2003年からビジット・ジャパン・キャンペーンを実施
「2010年までに1,000万人の訪日外国人誘致」を実現するための活動を開始した
VISIT JAPAN CAMPAIGN


国土交通省 通訳案内士規定
通訳案内士は、報酬を受けて、外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることができます。通訳案内士になるには国家試験(国際観光振興機構が実施)に合格し、都道府県知事の登録を受けなければなりません。
通訳案内士(通訳ガイド)
職業資格認定制度がある唯一の通訳資格
国家の認定する唯一の語学関連資格試験
国土交通省認定通訳案内士
報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする
語学力が優秀であるだけでなく、日本の文化、歴史、地理さらに産業、経済、政治といった分野に至るまで、幅広い知識、教養をもって日本を紹介する
“民間外交官”ともいえる国際親善の一翼を担う 仕事
通訳案内士 試験
1.試験語学英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア 語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語
2.受験資格年齢、性別、学歴その他の制限はなし
3.試験の内容第1次試験  外国語の筆記試験、日本地理、日本歴史、産業、経済、政治及び文化に関する一般常識第2次試験  通訳案内の実務(筆記試験で選択した外国語による実践的コミュニケーション能力。人物考査を含む。)
過去問題の入手先http://www.jnto.go.jp/jpn/interpreter_guide_exams/question_archive.html
通訳案内士 2007年の合格率
通訳案内業(ガイド)に従事するには
資格試験合格後、免許取得
      ↓
ガイド研修参加

派遣会社や旅行社に登録

スポットで受注、定期観光バスで就業など
定期観光バスの通訳ガイド
はとバス http://www.hatobus.com/ 英語・中国語によるガイディングが用意されている。
使用言語中国語、英語、韓国語、スペイン語
ツアー・トレーサーGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)を利用し、バスの運行に合わせたガイドが自動的にヘッドフォンに流れるシステム 韓国語、スペイン語はツアー・トレーサーを使用

はとバス(中国語)

哈多巴士為提供旅客於一日間,遊覽東京各式觀光景點的定期觀光巴士。擁有繽紛多姿的各式行程,相信?對能滿足?對旅程的各種希望與喜好。

哈多巴士?提供旅客於一日?,游??京各式?光景点的定期?光巴士。?有??多姿的各式行程,相信??能?足??旅程的各?希望与喜好。


はとバス(韓国語)
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はとバス(スペイン語)
Hato Bus es un comodo servicio regular de autobuses turisticos con el que puede hacer un recorrido por los lugares de mayor interes de Tokio en un solo dia. Con toda certeza, podra encontrar un itinerario que sea de su agrado en nuestra gran variedad de giras.
はとバス(英語)
Hato Bus is Tokyo's foremost sightseeing bus service, providing convenient one-day trips to all of Tokyo's best tourist spots. With our great variety of tours and destinations, let us create a perfect day in Tokyo just for you!
はとバスツアー(英語ガイド)例
はとバスツアー(中国語ガイド)の例
通訳ガイドの実際

通訳ガイドの働きぶりについてDVDを見てみましょう。
芸能・スポーツの通訳
芸能通訳
来日したアーティストの記者会見、インタビュー、テレビ出演およびその打ち合わせ、日常生活の世話、スケジュール管理、芝居の稽古やリハーサルの通訳など多岐にわたる
スポーツの通訳
国内外で開催されるスポーツ大会などイベントでの通訳(選手団付き、事務局付き、VIP付き、プレス、インフォメーション、連絡など)
プロスポーツ(野球、サッカー、格闘技など)の選手付き、インタビュー、練習、スタッフ、他の選手とのコミュニケーション、生活全般の世話
芸能・スポーツ通訳者の資質
自分が通訳を行うジャンルに関する幅広く深い知識が必要
映画、演劇、音楽などに関する知識
スポーツのルール、周辺的情報(選手、記録、チームの勝敗などなど)
舞台度胸が必要
テレビ出演や記者会見など人前に出て通訳する
ホスピタリティーが必要
アーティストやスポーツ選手と長時間ともに行動するため、世話好きな性格が望ましい

政府機関、地方自治体
職員として団体や財団法人あるいは都道府県庁の国際課などに勤務し、国際交流業務を行う。
通訳業務は本来業務の付帯的なものとして扱われる場合が多い。
仕事の内容
海外との連絡(翻訳業務を含む)
外国訪問の手配、随行、通訳
来日訪問団の受け入れ、接待、見学や訪問のアレンジ、随行通訳など
官庁での国際業務
外務省
在外公館勤務、外交の通訳
防衛庁
在日米軍との折衝における通訳、領海侵犯事件などの交渉通訳、自衛隊海外派遣など
警視庁
通訳センター勤務
水産庁
乗船通訳

ボランティア通訳
各地の国際交流協会
仕事の内容
地域で開催される国際交流イベント
病院での医療通訳
外国人向け市民相談窓口業務 など
問題点
無償奉仕であるため責任感が薄い
語学の勉強のために参加する人がいる
レベルの低い「使えない通訳者」が少なくない
通訳の原理

理解→転換→表出のプロセスについて
用語の説明:言語の種別
SL:起点言語 source language 
話し手の言語、翻訳、通訳の原語
TL:目標言語 target language
聞き手の言語、翻訳、通訳の訳出語
通訳者はSLからTLへの通訳を行う
A言語:通訳者にとっての母語
B言語:通訳者にとっての第二言語
パッシブ能力:聞く、読む能力
アクティブ能力:話す、書く能力


用語の説明:通訳の形式
逐次通訳
センテンス(単文、短文)通訳
長文逐次通訳
同時通訳
通訳装置を使用した同時通訳
ウィスパリング同時通訳
以上の他にも時差通訳などがある。

通訳者の理解を支える知識

世界知識:一般常識、雑学的知識
状況知識:参加者、目的、場所など
言語知識:語彙、語法、語用
専門知識:用語、枠組み、考え方
通訳者の言語理解の特徴
言語の線状性と意味単位ごとのオンライン処理
音韻形式の分析によって切り分けをおこなう。
切り分けた意味単位で暫定的に意味表象に投射する。
投射された意味表象は暫定的にTLに変換される。
ある程度のサイズに統合しTLの修正を行う。
逐次通訳:記憶保持の補助手段としてノートをとる。
同時通訳:訳出可能な単位ごとにアウトプットする。
 以上のように通訳者は理解と転換を常に同時進行で行っている。
SLからTLへの転換
意味のまとまりごとに理解しつつ、分析と統合を繰り返しながら、話し手のメッセージをとらえる。
深層構造の意味からTLの表層構造に投射する。
SLのメッセージ(M1)に含まれるコンテンツおよびその関連性はTLのM2においても保持される(等価の原則)。
言語使用域
SL(M1)の社会における位置
=>TL(M2)の社会における位置
 
場面とテクストの内容にふさわしい表現
非言語・パラ言語的要因
非言語(ノン・バーバル)要因
服装、持ち物、表情、物腰、話し方、相手との距離
言語そのものによる伝達は30%といわれる
パラ言語(音声表現)要因
発音、発声、音量、声の高低・大小、速度、抑揚…
  → 聞きやすさ、わかりやすさ
身体言語と通訳者
身振り手振りをどう訳すか
通訳能力の三次元モデル
通訳は言語能力・知識・技術の三つがそろって初めて可能になる。どれか一つがゼロなら全体もゼロ。

通訳のプロセス ーまとめー
通訳者は長期記憶として保持されている各種の知識を総合的に運用しながら話し手のメッセージをとらえる。
TL転換の際には通訳スキルを駆使して意味単位ごとのオンライン処理をおこない、言語使用域に
 もとづき適切な表現方法を選択する。
通訳者は明瞭な発音、発声、豊かな音量と安定した声のトーン、聴き手の情報処理を容易にする速度と間の取り方を工夫し魅力的なパフォーマンスでアウトプットする。
来週のテーマ
一人でもできる通訳訓練法外国語学習に応用できる通訳訓練の手法について紹介します。